FessのMicrosoft Entra ID対応

MicrosoftがAzure Active Directory (Azure AD)をMicrosoft Entra IDにリブランディングしたことに伴い、Fess 15.4では命名規則を新しいブランドに合わせて変更しました。また、ネストしたグループメンバーシップを持つユーザーのログイン遅延を解消するため、親グループの遅延読み込み機能を実装しました。

Azure ADからEntra IDへの名称変更

以下のクラス名と設定キーが変更されました。

クラス名の変更

旧クラス名新クラス名
AzureAdCredentialEntraIdCredential
AzureAdAuthenticatorEntraIdAuthenticator
AzureAdUserEntraIdUser

設定キーの変更

設定キーはaad.*からentraid.*に変更されました。

# 旧設定
sso.type=aad
aad.tenant=<tenant_name>.onmicrosoft.com
aad.client.id=...
aad.client.secret=...

# 新設定
sso.type=entraid
entraid.tenant=<tenant_name>.onmicrosoft.com
entraid.client.id=...
entraid.client.secret=...

後方互換性

既存のaad.*設定キーは引き続き動作するように後方互換性が維持されています。SSOタイプとしてaadを指定した場合も、内部的にentraidとして処理されます。既存の設定を変更する必要はありませんが、新規設定ではentraid.*の使用を推奨します。

親グループの遅延読み込み

Entra IDでは、ユーザーが複数のネストしたグループに所属している場合、ログイン時にすべてのグループ情報を取得するのに時間がかかることがありました。この問題を解消するため、親グループの取得を非同期で行う遅延読み込み機能を実装しました。

動作の仕組み

  1. ログイン時: ユーザーの直接所属グループのみを同期的に取得
  2. ログイン後: 親グループ(ネストしたグループ)をバックグラウンドで非同期取得
  3. 取得完了時: パーミッションを再計算して更新

この改善により、多くのネストしたグループメンバーシップを持つユーザーでもログインが高速化されます。

スレッドセーフティの改善

非同期処理に対応するため、EntraIdUserクラスには以下のスレッドセーフティ改善が行われました。

  • groupsrolespermissionsフィールドにvolatile修飾子を追加
  • setGroups()setRoles()メソッドをsynchronizedに変更
  • 非同期更新後にパーミッション再計算を行うresetPermissions()メソッドを追加

詳細

詳細は以下のPRを参照してください。

  • PR #2976 – Rename Azure AD to Microsoft Entra ID
  • PR #2977 – Add lazy loading for parent group lookup in EntraIdAuthenticator

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