Fessの中のSolr

はじめに

これは Solr Advent Calendar 2014 – Qiita 、10日目の記事です。
Fessの中で使われているSolrについて、ご紹介します。
Tomcat上でウェブアプリとか作っておいて、そこにSolrを相乗りとかさせるときに参考になるかもしれません。

Fessの中のSolr

ざっくりではありますが、Solrを同梱しているFessの配布物についてまとめます。

  • FessはTomcatで配布している
  • solr.warをTomcatに配備している(Fessのfess.warと相乗り)
  • SolrにBASIC認証を設定している
  • Fess内ではSolrJでアクセスしている

今回は、FessでSolrJを使って、どのように呼び出しているかの細かい話は省略しますが、SolrLibというものを作って、SolrJをラップして利用しています。
続いて、実際の中身を見ていきたいと思います。

ダウンロード

まずは、Fessをダウンロードします。
現在、ここから fess-server-9.3.1.zipをダウンロードできます。
今回は、特に実行とかが目的ではないので、これ以外は特に必要はありません。

展開

fess-server-9.3.1.zipを展開します。

$ unzip fess-server-9.3.1.zip
$ cd cd fess-server-9.3.1

展開すると、Tomcatをご存じの方はすぐわかるかと思いますが、ほぼTomcatな感じです。
FessでSolrをTomcat上で動かすために変更している部分は以下になります。

  • solrディレクトリ
  • webapps/solrディレクトリ
  • bin/setenv.*ファイル
  • conf/tomcat-users.xmlファイル

Fessの配布物を生成するビルドスクリプトの中で、Tomcatをダウンロードして、Solrをダウンロードして、fess.warをビルドして、必要なファイルを置き換えてTomcatに固め直す、ということを行っています。
それを行っているのがfess-serverというプロジェクトになります。
ですので、そのプロジェクトのbuild.xmlを見ると、solr.warをTomcatにどのように配備しているのかが分かるかと思います。
簡単にですが、置き換えている概要的な説明をしておきます。

solrディレクトリ

Solrの配布物に含まれるexampleをベースにcollection1などを持ってきて、必要なファイルを置き換えています。
schema.xml、solrconfig.xml、solr.xml、core.propertiesはFess独自で用意しています。
あとは、Fessは通常の全文検索のインデックスをcore1として、サジェスト用インデックスにはcore1-suggestという感じで2つのコアを利用しています。

webapps/solrディレクトリ

Solrの配布物に含まれるsolr.warを展開して、webapps以下に置いています。
BASIC認証を適用しているので、web.xmlにその設定を加えています。

bin/setenv.*ファイル

Solr用にはsolr.solr.homeを設定しています。

conf/tomcat-users.xmlファイル

BASIC認証用のユーザーを追加しています。
以上のような形でSolrをFessに組み込んでいます。
という感じで、Solrの配布物を持ってきて、上記のファイルを持ってきて編集すれば、ご利用の環境にSolrを配備して利用することができるようになるかと思います。機会があれば、試してみるのも良いかと。

Fess 9.3のリリース

Fess 9.3のリリースは11/6に行ったのですが、その後、特に告知とかできていなかったので…。Fess 9.3では主に以下の点で修正が入っています。

  • Solr 4.10.2の採用
  • 差分クロール周りのロジック修正
  • サジェストを検索ログ、登録した候補、NGワードによる除外などの拡張
  • キーマッチ機能(特定の検索語が入力されたときに特定のドキュメントをブーストする)

上記以外には細かい修正がいろいろと入っている感じです。
リリース後、データストアクロール時に1つ問題があったため、現在は9.3.1を提供しています。
現状は、Fess 10に向けての作業に注力しているので、OSSとして、9.4をリリースするかは未定です。
(商用としてはメンテナンスの都合上、リリースする可能性はあるかとは思いますが…)
という感じですが、引き続きよろしくお願いたしますー。

Fess 10の計画

Fess 9.3を無事にリリースすることができましたが、次はFess 10を考えています。Fess 1.0をリリースしたのは、2009年9月なので、もう5年も経過し、多くの進化を遂げたと思います。FessはApacheライセンスで提供しているOSSですが、商用製品・サポートとして提供しているN2 Searchもおかげさまでいろいろなところに導入させていただきました。5年も経ち、Fessで利用しているベースのフレームワーク等は変わることなくやってきましたが、そろそろグローバルに展開する時期にもなり、OSSとして受け入れてもらっていくためにはそろそろSeasar2からの移行が必要と考えています。
というわけで、Fess 10ではフレームワークの一新を図ります。Fess 10は現在、社内で移行作業が進められていますが、ある程度作業が落ち着いてきたところで、githubへpushされると思います。という感じで、今後ともFessをよろしくおねがいします。