FessのRAGチャットでMarkdownレンダリングに対応

FessのRAGチャット機能で、LLMからの応答をMarkdownとしてレンダリングできるようにしました。これにより、見出しやテーブル、コードブロックなどが整形された状態で表示されるようになります。また、ストリーミング中の途中の応答も適切にMarkdownとして表示されます。

背景

これまでFessのチャット画面では、LLMからの応答をプレーンテキストとして表示していました。LLMの応答にはMarkdown形式で見出しやリスト、コードブロックなどが含まれることが多いため、そのまま表示すると読みにくい状態でした。特にストリーミング応答中は、Markdownのソースがそのまま見えてしまう問題がありました。

変更内容

marked.jsとDOMPurifyの導入

クライアントサイドでMarkdownをHTMLに変換するために、marked.js(v17.0.4)を導入しました。また、XSS対策としてDOMPurifyを組み合わせて使用しています。

サニタイズポリシーは、サーバーサイドのMarkdownRenderer(OWASPサニタイザー)と同等の設定にしています。

  • 許可するHTMLタグを限定(見出し、リスト、テーブル、コードブロックなど)
  • リンクにはrel="nofollow"を自動付与
  • class属性はcodeprespandiv要素のみに制限
  • data-*属性は不許可
  • URIはhttps?://のみ許可

ストリーミング対応

ストリーミング応答では、受信中のテキストに対してrenderMarkdown()を呼び出すことで、途中の応答もMarkdownとしてレンダリングされます。従来の.text()による表示を.html(renderMarkdown())に変更し、リアルタイムにMarkdown変換を行っています。

CSSスタイルの追加

レンダリングされたMarkdown要素に対して、チャットUIに適したスタイルを追加しました。

  • 見出し(h1〜h6)のフォントサイズとマージン
  • テーブルのボーダーとパディング
  • 引用ブロックの左ボーダー
  • リンクの色とホバースタイル

フォールバック

marked.jsやDOMPurifyの読み込みに失敗した場合は、従来どおりHTMLエスケープしたプレーンテキストとして表示するフォールバック処理を実装しています。

関連リンク

FessクローラーのURL処理をjava.net.URIからjava.net.URLに戻した

FessのクローラーでURL処理に使っていたjava.net.URLjava.net.URIに置き換える対応を以前行いましたが、URIでは対応できない文字が多く問題が発生したため、java.net.URLに戻しました。

背景

Javaではjava.net.URLjava.net.URIの2つのURLを扱うクラスがあります。java.net.URLは古くからあるクラスで、java.net.URIはRFC 2396に準拠したより厳密なクラスです。一般的にはURIの使用が推奨されていますが、Webクローラーの用途では事情が異なります。

Webの世界には、RFCに準拠していない非標準的なURLが数多く存在します。URI.create()はこれらの非標準URLをIllegalArgumentExceptionで拒否してしまいますが、java.net.URLはより寛容に処理できます。

変更内容

PR #3066で、FessXpathTransformerProtocolHelperの2つのクラスを中心に、URIからURLへの変更を行いました。

FessXpathTransformer

主な変更点は以下の通りです。

  • java.net.URI/URISyntaxExceptionjava.net.URL/MalformedURLExceptionに変更
  • getURI()メソッドをgetURL()に、getBaseUri()getBaseUrl()にリネーム
  • addChildUrlFromTagAttribute()の引数の型をURIからURLに変更
  • 相対URL解決をURI.resolve()からnew URL(base, spec)コンストラクタに変更

new URL(base, spec)コンストラクタは相対URLの解決をネイティブに処理できるため、URI使用時に必要だった手動でのフォールバック処理(//で始まるURL、?#で始まるURL、相対パスなど)を大幅に簡素化できました。

// 変更前: URI.resolve()を使用
final URI childUri = uri.resolve(resolveTarget);
u = encodeUrl(normalizeUrl(childUri.toString()), encoding);

// 変更後: new URL(base, spec)を使用
final URL childUrl = new URL(url, urlValue.startsWith(":") ? url.getProtocol() + urlValue : urlValue);
String childUrlStr = childUrl.toExternalForm();

一方で、/../で始まるパスの正規化処理は引き続き必要なため、その部分は残しています。

ProtocolHelper

ProtocolHelperでは、リソースのプロトコルチェックで不要なURI変換を削除し、URL.getProtocol()を直接使用するようにしました。URIへの変換はFileコンストラクタがURIを要求する箇所でのみ残しています。

URIで問題が起きた理由

java.net.URIはRFC 2396に厳密に準拠しているため、以下のような文字を含むURLを処理できません。

  • ブラケット([]
  • 一部のUnicode文字
  • パーセント記号の不正なエンコーディング
  • HTMLエンティティを含むURL

Webクローラーは様々なサイトのHTMLを解析するため、このような非標準的なURLに頻繁に遭遇します。URI.create()IllegalArgumentExceptionを投げると、そのURLはクロール対象から外れてしまい、取得漏れの原因になります。

テストの追加

今回の変更に合わせて、特殊文字を含むURLに対するテストも追加しました。

  • FessXpathTransformerTest: getBaseUrl()のテストをリネームし、URL APIに合わせてアサーションを更新
  • CrawlingInfoHelperIndexExportJobDocumentUtilにブラケット、パーセント記号、Unicode、HTMLエンティティを含むURLのテストを追加

まとめ

java.net.URIはRFC準拠の厳密なURL処理には適していますが、Webクローラーのように非標準的なURLを扱う必要がある場面ではjava.net.URLの方が実用的です。今回の変更により、new URL(base, spec)による相対URL解決のおかげでコードも簡素化でき、クローラーの堅牢性も向上しました。

FessのAI検索モードでコンテンツプロキシ対応のリンクを生成

FessのAI検索モードで、検索結果のソースリンクがコンテンツプロキシ(/go/ URL)を利用していない問題がありました。通常の検索では、検索結果のリンクは /go/ URLを経由することで、クリックトラッキングやアクセス制御のログ記録が行われますが、AI検索モードではこの仕組みが使われていませんでした。今回、通常の検索と同様に /go/ URLを生成するように修正しました。

問題

通常の検索結果では、各結果のリンクが /go/?doc.id=...&rt=...&qt=... のような形式で、コンテンツプロキシを経由します。これにより、以下のことが可能になります。

  • クリックトラッキング(どの検索結果がクリックされたか)
  • アクセス制御のログ記録
  • URLのリダイレクト管理

しかし、AI検索モードのソースカードでは、生のURLがそのまま使われていたため、これらの機能が働いていませんでした。

変更内容

ChatClient.java

主な変更は ChatClient.java に集中しています。

  • ChatSearchResult ラッパークラスを導入し、検索結果のドキュメントと一緒に queryIdrequestedTime を保持できるようにしました
  • buildGoUrl() メソッドを追加し、URLエンコードされた /go/ リンクを構築します
  • addSourcesToMessage() メソッドで、ソース情報の付与を一箇所に集約しました
  • resolveContextPath() で、SSE処理の前にHTTPコンテキストパスを取得します(SSE処理中はリクエストコンテキストが利用できなくなる可能性があるため)

ThreadLocalを使って searchDocuments メソッドからメタデータを伝播させることで、protectedなAPIのシグネチャを変更せずに済んでいます。

ChatMessage.java

ChatSource クラスに urlLinkgoUrl フィールドを追加し、ドキュメントマップから url_link を読み取れるようにしました。

chat.js

ソースカードのリンクを goUrl → urlLink → url の優先順位で解決するように変更しました。goUrl が利用できない場合でも後方互換性を保っています。

テスト

ChatClientTest.java に以下のユニットテストが追加されています。

  • buildGoUrl の基本的な動作
  • コンテキストパスがある場合の動作
  • docIdやqueryIdがnullの場合の動作
  • 特殊文字のURLエンコード
  • ChatSource のフィールドアクセサ

関連リンク