ベクトル検索製品の性能比較

ANNを利用できるプロダクトも増えてきているけど、手元の環境を利用して、同じような条件で比較できる方法が見当たらない気がする。あったとしても、そのプロダクトに最適化された比較で参考にならなかったり、試すのに手間がかかりすぎたりと、気軽に試すことができないと思う。

そんなわけで、ノートブックでポチポチやるだけで、検索の応答時間が出せるようなものをsearch-ann-benchmarkとして、作り始めた。シンプルに試すことを目的にしているので、ノートブック内でDockerを起動して、環境を構築して利用する感じなので、たぶん、利用しやすいと思う。

比較対象の製品も増やしていきたいと思うし、データセットや設定などは設定ファイル化して、いろいろと比較できるようにしたいとは思っています。けど、どこまでできるかは不明…。

そんな感じで、手元で気軽にベクトル検索を実行して応答時間を確認できる環境、を目指すrepositoryです。

Elasticsearchでセマンティックサーチを試す

Elasticsearchでknnクエリーを利用して、ベクトル検索を試すことができるの試してみる。まず、Elasticsearchを起動する。

git clone https://github.com/codelibs/docker-elasticsearch.git
cd docker-elasticsearch
docker compose -f compose.yaml up -d

という感じで、Dockerがあれば、http://localhost:9200でアクセスできるElasticsearchが起動できる。

ML機能はライセンスが必要なので、以下でトライアルを有効にする。

curl -XPOST -H "Content-Type:application/json" "http://localhost:9200/_license/start_trial?acknowledge=true"

ElasticsearchのML機能を利用して、テキストデータを渡されたら、ベクトルに変換してくれるようにingestを設定して、ingestでテキストからベクトルを推論するモデルを登録していく。

まずは、モデルを登録していくのが、モデルをインポートするためには、Pythonのelandを用いて、登録することになる。そのために、Pythonモジュールをインストールする。今回は、日本語を利用するので、以下のようなモジュールを入れておく。

pip install 'eland[pytorch]'
pip install fugashi
pip install unidic-lite

次はモデルのインポート。今回はtohoku/bert-base-japanese-v2を指定する。(今回は、簡単に試せるように、httpsなどのsecurityを無効な状態にしてあるので、ユーザー名などの指定が不要である)

eland_import_hub_model --url http://localhost:9200 --hub-model-id cl-tohoku/bert-base-japanese-v2 --task-type text_embedding

インポートできたら、モデルをデプロイする。

curl -XPOST -H "Content-Type:application/json" "http://localhost:9200/_ml/trained_models/cl-tohoku__bert-base-japanese-v2/deployment/_start"

ingestを登録して、テキストがベクトルに変換できるようにする。

curl -XPUT -H "Content-Type:application/json" "http://localhost:9200/_ingest/pipeline/text_embedding" -d '
{
  "description": "Text embedding pipeline",
  "processors": [
    {
      "inference": {
        "model_id": "cl-tohoku__bert-base-japanese-v2",
        "target_field": "content_vector",
        "field_map": {
          "content": "text_field"
        }
      }
    }
  ]
}
'

contentフィールドにテキスト情報を入れる。ベクトルは、content_vectorオブジェクトに入る。ベクトル自体はcontent_vector.predicted_valueに格納される。

ここまでくれば、下準備ができたので、次にデータを入れるインデックスを作る。

curl -XPUT -H "Content-Type:application/json" "http://localhost:9200/docs" -d '
{
  "settings": {
    "index": {
      "number_of_shards": 1,
      "number_of_replicas": 0
    }
  },
  "mappings": {
    "properties": {
      "content": {
        "type": "text",
        "analyzer": "standard"
      },
      "content_vector.model_id": {
        "type": "keyword"
      },
      "content_vector.predicted_value": {
        "type": "dense_vector",
        "dims": 768,
        "index": true,
        "similarity": "l2_norm"
      }
    }
  }
}
'

検証なので、contentにデータを入れるシンプルなインデックスです。このインデックスにデータを入れrます。テスト用のデータは、ChatGPTに10件生成してもらったので、それを入れます。

curl -XPOST -H "Content-Type: application/x-ndjson" "http://localhost:9200/_bulk?pipeline=text_embedding" -d '
{"index": {"_index": "docs"}}
{"content": "明日の天気は晴れの予報です。"}
{"index": {"_index": "docs"}}
{"content": "彼女が好きな色はピンクです。"}
{"index": {"_index": "docs"}}
{"content": "日本語を勉強しています。"}
{"index": {"_index": "docs"}}
{"content": "新しいレストランがオープンしました。"}
{"index": {"_index": "docs"}}
{"content": "今日は疲れたので早く寝ます。"}
{"index": {"_index": "docs"}}
{"content": "おいしいコーヒーを飲みました。"}
{"index": {"_index": "docs"}}
{"content": "新しいスマートフォンが発売されます。"}
{"index": {"_index": "docs"}}
{"content": "友達と映画を見に行きました。"}
{"index": {"_index": "docs"}}
{"content": "最近、本を読む習慣を始めました。"}
{"index": {"_index": "docs"}}
{"content": "子供たちが公園で遊んでいます。"}
'

シンプルなデータなので、面白みにかけますが、検索は以下のリクエストを投げると、結果が帰ってきます。

curl -XPOST -H "Content-Type: application/json" "http://localhost:9200/docs/_search" -d '
{
  "knn": {
    "field": "content_vector.predicted_value",
    "query_vector_builder": {
      "text_embedding": {
        "model_id": "cl-tohoku__bert-base-japanese-v2",
        "model_text": "彼女が好きな色は?"
      }
    },
    "k": 3,
    "num_candidates": 10
  },
  "_source": [
    "content"
  ]
}
'

「彼女が好きな色はピンクです。」が1件目で取得できると思いますが、2件目以降は類似度が高い順に返ってくるだけです。

という感じですが、詳しくはElasticsearchのドキュメントを参照するのが良いと思います。

玄人志向 KRPW-PA1000W/92+ 

最近のGPUはやたら電力を消費するし、接続するコネクタも新たなものがでてきたりと、新しいGPUを使うことができない感じになってきているので、今回、PC電源を購入することにした。

40系のGPUとかだと、12VHPWR規格への対応が必要みたいな感じだったので、玄人志向KRPW-PA1000W/92+を購入した。そもそものところだと、12VHPWERに対応した電源の選択肢がまだ少ないので、80PLUS PLATINUMだし、これにしてみるか、的な感じで選択した。

ケーブル自体は付属しているので、それを指していけばよいだけで、特に問題はなかった。

がしかし、12VHPWRに対応していると言うだけあって、12VHPWRのケーブルも付属しているのだが、このケーブルがおかしい…。ケーブルには、PCIeに電源へ繋げと書いてあるが、ATX12Vの口にしか入らない…。ATX12Vはマザーボードにつなぐ必要があるので、この口を使うわけにもいかない…。というわけで、12VHPWRケーブルは不良品な気がする。Amazonのレビューコメントにも同じようなことを書いてあったので、たぶん、設計ミス的な感じかもしれない…。直近、12VHPWRで繋がないから、良いけど、GPUを買ったら、ケーブルを買うなどしないといけない気がする。

という感じで、よくわからない部分がある製品だと思います…。12VHPWRに対応していないと思えば、普通の電源として利用できると思います。玄人志向の製品は他にも結構使っているので、今回の謎仕様はちょっと残念な気分になりました…。

追記(2023/01/25): 付属品に関するお知らせとお詫びが公開されていたので、申請して無事に正しいケーブルを入手できました。